ヘングレと魔法使い(パティシエ)
≪家出4≫
今日は、懐かしい方々がおいでになられた。お二人とも健やかに成長なさって嬉しい限りだ。お嬢様の破天荒さとお坊ちゃまの苦労性は健在で、そこが少しばかり心配ではある。だが、お二人がお二人であり続け、ご一緒に在られる限り大丈夫、だろう。
それにしても、家出とは。旦那様のトラウマはそれ程にまで深かったのだろうか。稲菓家の進退が気になるが、目下の問題はお二人の事だ。今はこのあばら家でお休みになられているが、稲菓家の後継たるお二人を零覇に預けてよいものか。
零覇の身元は保証できる。我が数十年来の親友の孫と言うことは信頼に値する。だが、そもそも今の零覇はお二人の憧れた零覇では、ない。落胆されるお二人を見たくはないし…。
待てよ。寧ろ、会わせてみたら。双方にいい影響を及ぼしてくれるのではないか。
零覇はもう一度、立ち上がってくれるかもしれない。お二人はもう一度、ご両親と向き合ってくださるかもしれない。いや、ご両親の方が向き合って頂けるようになるかもしれない。
これは、賭けでもある。リスクは大きい。だが…。
書いている内容が要領を得ない。頭で考えていても、と思ったが意味が無さそうだ。今日はもう寝て、頭をすっきりさせてもう一度考えるとしよう。
(爺の書記より)
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