ラッキーアイテムはオオカミさん NG集5
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数日後、純花は講義を受けようと、講堂に入った。席を探してきょろきょろしながら前の方へと歩いていく。その途中、くいっと服の裾を引かれて視線を落とすと、そのまま顎を落とした。ぽかんと口を開けたままフリーズした彼女にその元凶は、してやったりと笑みを浮かべた。
「な、な、な、な、な、な」
わななく指をむけ、純花は絶叫する。
「なして居るんですかぁ⁈」
その指の先で大上はニヤリと笑った。
……おっと失礼。同じ純花ちゃんでも、この子はツキさんとこの純花ちゃんですね。うん。
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「よく叫ぶな、お前」
「誰のせいだと思ってるんですか!!」
涙目になって小声で叫ぶという、器用な事をさらりとやってのける純花。しれっとした顔で大上は言う。
「さあ。俺は何もしてねぇけど?」
「な、う、あ」
口をパクパクさせる。意味をなさない言葉しか出てこない。ひっひっふー、と深呼吸した純花。
……ん?深呼吸ってすーはー、じゃなかったっけ?
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一瞬でその答えに辿り着き、即座にその通りにする純花。因みに、この答えは大上に初遭遇した後、純花が質問したことに、狩野が笑顔で答えたものである。大人しく待っててくれれば必ず助けに行くからね!という言葉つきでもある。
その結果。
純花はどこぞの倉庫らしき場所に連れ込まれていた。
今までの事を反芻していた純花はふと首を傾げた。そう言えば、どうやって純花の居場所を特定するのだろう?
……はっ!!ついにお兄ちゃんが超能力者に⁈
カ――――――ット!!!!! だから超能力者説から離れて純花ちゃん!!!!!
お読み頂き、心より感謝申し上げます。ツキナギの後の方ナギで御座います。
次回とその次の回は二部構成、愛すべき馬鹿の話となります。どうぞお楽しみに。
それではまたお会いしましょう!
※更新はいつになるか分かりません(乾いた笑い)
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